井上哲朗
1991年、埼玉県出身
大宮アルディージャユース-桃山学院大学サッカー部-サムットプラカーンFC-プレーユナイテッド-チャチュンサオFC-ナコンシータマラートユニティ-トランFC
2018シーズン、井上哲朗はタイリーグ3部 南部エリアに所属するトランFCでプレーしていた。2017シーズンでは2部リーグへの昇格プレーオフで惜しくも敗れたものの、豊富な戦力とクラブとしての組織力は3部リーグの中では頭一つ抜けた存在のクラブだと言えるだろう。
そしてクラブ念願の2部昇格へのラストピースとして井上に声がかかった。
チームはシーズンを通して好パフォーマンスを見せた。井上も守備の要としてチームを支え、彼の守備力、高い打点のヘディング、攻撃の起点となる精度の高いパスはチームの大きな武器となっていた。その中でも特筆すべきは彼のチームを引っ張ろうとする姿勢だ。
試合中にはピッチ上で誰よりも大きな声を張り上げてチームメイトを鼓舞する。タイ語を操り味方に指示を出し、ピッチ上での存在感は別格と言えるものだった。
井上はこれまでのタイリーグでのキャリアの中で、誰よりも昇格することの難しさを体験して来た選手だ。毎年のようにチームを勝利に導き、プレーオフに進出するも、チームとしての昇格は果たせなかった。ボランチながらにシーズンで10得点近くを決めアピールするも上位リーグのクラブとの契約には至らなかった。
間違いなく井上は2部リーグでも活躍できるポテンシャルを持った選手だが、それでも下位リーグから上位リーグへ外国人選手が昇格することは並大抵のことではないのだ。
これまでタイでの5シーズンで結局昇格という目標を果たせなかったが、この5年間の積み重ねは必ず彼にとって大きな経験となっている。心身ともに選手として最も脂の乗る時期を迎える井上が、この先どのようなステップを踏み、望むようなステップアップを果たすのか。彼と共にその目標を叶えたいと思う。