タイを中心とした東南アジアの2018シーズンへの動きは今年も既に始まっている。年末は30日まで練習、年始は1月2日から練習再開、そんなチームも珍しくない。ユーロプラスアジアで東南アジアにチャレンジしにきている選手たちも新年早々タイ各地、そして近隣国へのトライアウトへと向かっている。いよいよシーズン開幕に向けてトライアウト本番と言ったところだ。
どういう選手が東南アジアでは求められるのか
トライアウトは大抵試合形式が中心で行われる。20~30分という少ない時間の中で自分をアピールしなければいけない。『自分の得意なプレーを見せる、ミスしたところを見せるわけにはいかない、しっかり守備もしよう。』色々な思いの中で自分のベストパフォーマンスをしようと努力するだろう。しかし大抵の日本人選手を見ていると、トライアウトで注目を集める外国人選手たちとは決定的な違いがあるように感じる。
どこのトライアウトや練習参加を見ていても日本人の技術の高さ、戦術理解度、献身性は高いと言えるだろう。もちろん、そう言った部分を評価してくれる関係者も多い。そしてそういったベースがなければ日本では評価されないし、その上のレベルを目指すこともできない。Jリーグに行く選手でそういった基本的な事ができていない選手なんてほとんどいないだろう。
しかし、それだけではトライアウトでは契約を勝ち取ることはできない。
ミスをしないということは、この場合評価には繋がらない。どれだけ自分のストロングポイントを見せることが出来るのか、何を持っているのか、それをどれだけピッチの中で発揮することが出来るのかが大きなポイントになる。
これは頭でわかっていても実際にピッチに立って実行するのは相当難しい。ピンチになれば仲間のために自分が戻るのが普通だし、同じチームの選手が攻め残っていれば自分がそのポジションをカバーしなければいけない、そういった当たり前のことを無視出来るような鈍感さが日本人にはあまりないのだ。
トライアウトでは目立ってなんぼ。良い選手が選ばれるのではない。印象に残った選手が選ばれる。そして生き残っていく選手が良い選手なのだ。そもそもトライアウトで大きなインパクトを残す外国人選手を見ていると、彼らはミスを悔やむ様子すらあまりない。むしろミスを自分のミスとも思っていないのかもしれない。だから強引でも迷わずに自分の長所を出していくことが出来るのだろう。
『ミスがないこと』が評価に繋がると思っていると、トライアウトでは『え?いたの?』という評価で終わってしまう。
個の力が求められている
東南アジアで評価されている日本人の多くは中盤の選手が多い。やはり精度の高い技術と、戦術理解度、チームへの献身性は高く評価されるポイントだ。しかし、彼らはそのパフォーマンスをシーズンを通して見せ続け、それが評価されている。そして高い標準装備レベルに加えて他の選手にはない大きな武器を1つ2つは持っているものだ。1日や2日という短い期間で自分をアピールしなければいけないトライアウトというのは、シーズンを通してプレーするのとはまた違った難しさがあるのだ。
サッカーはチームスポーツだ。チームスポーツだからこそ、試合を決める重要な局面では強い個の力が必要になる。そういった存在になることが外国人選手として求められるのではないか。