2017年10月29日(日)「トライアルイレブン・アジア2017」が千葉県のZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREAにて開催された。
この日、10月とは思えぬような寒さの中集まった選手は約30名。高校生から社会人選手まで、様々な選手がアジアへの挑戦権を賭けて千葉の幕張まで足を運んだ。この日のトライアルでは11人が合格し、合格した者にはアジアトライアウトへの挑戦権が与えられる。そして11月末から始まるトライアウトでプロチームからのオファーを受けることができなかたった場合には参加費の50%を返金するという制度も設けられている。
この日のトライアルにはタイから真野浩一氏が来日した。同氏は、タイを拠点としてアジア各国のリーグで活躍する日本人選手の契約に携わるエージェントだ。アジア各国のレベル、特徴も熟知している。
まず、この日はミーティングルームでの概要説明から始まった。なぜこのトライアルイレブン・アジアというプロジェクトが始まったのか、どういった意味があるのか。そして次に、真野氏からのアジアトライアルに関してのガイダンスへと続いた。
現地でのトライアウトはどういった流れで行われるのか、過去の例も出しながら現地ではどういった生活をし、どのようにしてトライアウトが進んで行くのか。そして過去に契約を勝ち取った選手の実際の例を出しながらの説明が細かく行われた。
行ったこともない、見知らぬ土地のピッチで自分をアピールしなければならない。その為にも事前に不安を少しでも解消しておくことは重要なことだ。それがここぞという時にどれだけ力を発揮できるかということに繋がってくる。実際に今まで多くの選手を見てきた真野氏のアドバイスをここで聞けたことは、トライアウトをよりリアルにイメージし、それに向かって準備して行く上でとても重要なものになったことだろう。
ガイダンスが終わり、緊張感漂うミーティングルームを出る頃には外は大粒の雨が降っていた。そのため予定を変更しフットサルコートに移動してのウォーミングアップ。そして5対5のミニゲームが始まった。
迫力のあるゲームが繰り広げられたが、狭いフットサルコートでそれぞれの持ち味を発揮するのは簡単ではない。しかし自分の特徴、自分のアピールポイントをどんな時でも発揮するという能力はテクニックや身体能力よりも時に必要になる。そういったメンタルや姿勢こそがアジアで成功するためには必要になってくるのだ。
その後、真野氏の提案で2対2のゲームが行われた。激しい攻防の中で、参加した選手達はそれぞれ勝負にこだわったプレーを見せてくれた。
この中にステップアップできる可能性のある選手はいるのか、この中から本当にアジアで戦える選手を挑戦させたい、そう願う真野氏にとっても選手たちのプレーをここで見れたことはこれ以上ない機会となった。チームからは常に同氏の元へ『長身で対人に強いセンターバックを探している』『足が速い左サイドができるウインガーはいないか?』といった問い合わせが入る。そういった各クラブからのオーダーに対応するためにも、選手の個性や特性を把握し、しっかりと事前にコミュニケーションを取るということは欠かせないのだ。
トライアルの最後にはフルピッチでの試合が行われた。個人としての能力を2対2や5対5という狭いスペースの中で確認し、そしてこのフルピッチではそれらを実践の中でどれだけ発揮することが出来るのか、そういったことがチェックされた。
アジアで活躍出来る選手になるために
冷たい雨が降り、白い吐息が寒さを際立たせる。選手たちにとってはタフなコンディションだったはずだ。トライアルの内容も対人の場面が多く、選手によっては自分の特徴が出しにくかった選手もいただろう。しかしここで大切になってくるのは技術やフィジカルなど目に見えやすい部分だけではない。アジアではそういう”良い選手”だから活躍出来るというわけではないのだ。
いかなる場面でも自分を信じる強さ、外国人選手として重要なメンタルや常にモチベーションを持って取り組む姿勢なども大事な選考基準となっている。本当にアジアで戦っていける選手かどうか、このプロジェクトではそういった本気の選手を送り出したいと思っている。
このプロジェクトを通してアジアでプロサッカー選手になることはもちろん、そこから逆輸入選手としてJリーグで活躍する選手、そしてさらにステップアップしていける選手を一緒に目指して欲しい。