【ドイツ】ドイツの室内サッカー「Hallenfußball」

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ドイツでは冬季期間、降雪のために屋外でサッカーができなくなることもあるため室内でのサッカーが行われます。ドイツ語でHallenfußball(ハレンフースバル)と呼ばれる室内サッカーは冬のオフシーズン期間中にプレーされることから、ドイツのフットボールカルチャーにおける重要な位置を占めています。1960年代、サッカーを屋外でプレイすることが困難な冬の季節に室内でサッカーを楽しむことが流行し始めたことがきっかけだったそうです。

室内サッカーの特徴

ピッチは体育館の床質だったり、人工芝が整備されているところがあったりと様々。人数はGK入れて5vs5がベースですが、6vs6で行う所も珍しくはありません。会場によってピッチサイズが微妙に異なることがありますが、フットサルと同じような大きさと考えてもらって大丈夫です。サイズが小さいフィールドではテクニックとスピード感が非常に重要になるのは当然として、壁を使用することが許されている環境がほとんどなので、これはフットサルと異なる点ですね。壁を上手く使って1人でワンツーのようなプレーをして相手をかわすこともできる特徴があるため、ゴールラインを割る以外はアウトオブプレーにならないのでプレーの連続性があり、試合のテンポも速くて非常にスピーディーに展開していきます。プレーしている側にとっては強度は高くなりますが…。

これも会場によりますが、四方が壁とネットで囲まれているため、一切アウトオブプレーにならないところも存在します。横の壁を使った1人ワンツーだけでなく、縦パスでゴール横の壁を狙ってその跳ね返りを狙う…といったような個人戦術を駆使したプレーも可能になるため、サッカーとはややかけ離れた行動様式にはなりますがプレーインテリジェンスの面も強化できるという特徴もあるのではないでしょうか。

また、試合中の選手交代はフットサルと同様に自由で好きなタイミングで何度も交代出場することが可能になっています。

選手発掘の場にも?

Hallenfußballはドイツのサッカー文化において重要な役割を担っており、若手の才能を発掘する場としても機能しています。地方の育成年代のサッカークラブからの選手が、この室内サッカーの大会やフェスティバルを通じてスカウティングされ、プロクラブの下部組織に引き上げられることもしばしばあります。

特に育成年代では冬のリーグ戦中断期間は大規模小規模問わず、色々なところで頻繁に室内サッカーの大会が開催されています。私自身、育成年代の指導者として何度も室内サッカーの大会に参加していますが、2週間で異なる3つの室内サッカーの大会に参加したこともあるくらいです。大会ごとにほぼ必ず表彰式や優勝カップの贈呈などが行われ、若年層の選手たちも良いモチベーションの中で毎回の大会に参加しているようです。

U12やU13のような年代であっても規模が大きい大会になると金曜の夜から日曜日にかけて3日間で行われるものもあり、私が当時アシスタントコーチをしていたチームは、街クラブに加えてブンデスリーガのボルシア・ドルトムントやアウクスブルク、ヴェルダー・ブレーメン、シャルケやハンブルガーSV、ハノーファー96などがいた大会に参加したこともありました。かなり大規模な大会でメディアも入っていた記憶があります。

普段なかなか遠い地区のブンデスクラブ、その世代トップレベルのチームと試合をする機会がないクラブにとっては貴重な経験になると思います。

ドイツサッカー連盟(DFB)もHallenfußballを重要視しており、子供や若者のカテゴリーでのトーナメントを推進しています。

このように、Hallenfußballは冬場にサッカーができないことから来る単なる繋ぎとしての存在ではなく、地域コミュニティやアマチュアサッカーシーンにおいて重要な役割を果たし続けています。選手の技術を向上させ、多くの大会によって競争心を植え付けるプラットフォームとして機能していると言えるでしょう。そして、サッカーという競技が年間を通して楽しめるスポーツとしてドイツの文化に根付いています。

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